国際バカロレア

国際バカロレア

ib world school

 山梨県立甲府西高等学校は、2019年4月に、国際バカロレア(International Baccalaureate、以降IB)機構により、IBワールドスクールに正式に認定されました。そして、翌2020年度の入学生が2年次となった2021年4月より、1期生がディプロマプログラム (Diploma Programme) 履修を開始しました。以降、毎年、希望する生徒に対してIBの授業を提供しています。
 本校の校訓や教育目標とIBの目指すものには、重なり合う部分が多くあります。そのため、本校では、元来の校風や教育方針の中、進学重点型単位制高校としての特色あるカリキュラム展開のもと、生徒の皆さんに、グローバルスタンダードの学びという時代に即した選択肢を提供することが可能になっています。

 

1.国際バカロレア(IB)

 

国際バカロレア(IB)とは
ー 国際バカロレア(IB)は、IB機構(本部ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラムです ー
 IBは、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせるとともに、国際的に通用する大学入学資格( IB Diploma / IB資格 )を与え、大学進学へのルートを確保することを目的として設置されました。
  IB機構は、認定校に対する共通カリキュラムの作成や、世界共通の国際バカロレア試験、国際バカロレア資格の授与等を実施しています。
 IBの教育プログラムは、IB機構より認定を受けたIBワールドスクールのみで提供されます。IBワールドスクールは、5,000を超え、世界中にそのコミュニティーが広がっています。

 

国際バカロレア(IB)の教育理念
ー IBの教育プログラムは、「IBの使命」に要約される、共通の価値観に根差しています ー
【IBの使命】
 IBは、多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くために貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者の育成を目的としています。
 この目的のために、IBは、学校や政府、国際機関と協力しながら、チャレンジに満ちた国際教育プログラムと厳格な評価の仕組みの開発に取り組んでいます。
 IBのプログラムは、世界各地で学ぶ児童生徒に、人がもつ違いを違いとして理解し、自分と異なる考えの人々にもそれぞれの正しさがあり得ると認めることのできる人として、積極的に、そして共感する心をもって生涯にわたって学び続けるよう働きかけています。

 

国際バカロレア(IB)の学習者像

 「IBの学習者像」は、IBワールドスクールが価値を置く人間性を10の人物像として表しています。IBの教育は、好奇心や思いやりといった資質を育み、知識やスキルを発展させることの重要性を意識しています。

 

【IBの学習者像】

  • 探究する人(Inquirers)
  • 知識のある人(Knowledgeable)
  • 考える人(Thinkers)
  • コミュニケーションができる人(Communicators)
  • 信念をもつ人(Principled)
  • 心を開く人(Open-Minded)
  • 思いやりのある人(Caring)
  • 挑戦する人(Risk-Takers)
  • バランスのとれた人(Balanced)
  • 振り返りができる人(Reflective)

 

2.ディプロマプログラム(IB)

 

ディプロマプログラム(DP)

 ディプロマプログラム(Diploma Programme / DP)は、大学での学修の前に履修する2年間の教育プログラムです。

 DPで所定の要件を満たして得られる IB Diploma は、世界の多くの国の大学機関で受験入学資格として認められています。

 

IBは3~19歳を対象とした一貫教育プログラムで、生徒の年齢に応じて4つの教育プログラムを提供しています。

ibpyp 初等教育プログラム(PYP)
3~12歳対象
ibmyp 中等教育プログラム(MYP)
11~16歳対象
ibdp ディプロマプログラム(DP)
16~19歳対象
ibcp 職業関連プログラム(CP)
16~19歳対象
  • このうち、DPは、高校生の年代が対象の、大学での学修の前に履修する、高度でバランスのとれた2年間のプログラムです。
  • 所定のカリキュラムを履修し、IB指定の課題提出や、世界共通の最終試験を経て所定の成績を収めると、国際的に認められる大学受験入学資格である IB Diploma / IB資格 が取得可能です。
  • 原則として、英語、フランス語又はスペイン語で実施されますが、日本の学校では、一部科目の言語を日本語とする、デュアルランゲージディプロマプログラム(DLDP)を実施することができます。

 甲府西高校では、DPを、日本語と英語のDLDPとして実施しています。

 

 

ディプロマプログラム(DP)の構成
  DPのカリキュラムは、6つの教科と3つのコアで構成されています。

DPの構成

  • IB Diploma 取得希望の生徒は、各教科から1つのDP科目を履修し、3科目をHL(上級レベル)で、3科目をSL(標準レベル)で学習します。
  • 「コア」は3つすべてを学習します。
  • 各科目とTOK・EEには、課題や試験に対して得点がつけられます。(最高合計スコア45)
  • IB Diplomaは、スコアなどについての諸要件を満たした場合に、授与されます。

 

 

3.甲府西高校 国際バカロレア(IB)

 

甲府西高校 ディプロマプログラム(DP)のカリキュラム展開

 甲府西高校では、希望する生徒は、2年次4月から2年間、ディプロマプログラム(日本語と英語のDLDP)を履修します。

 ディプロマプログラムは履修せずに、一部のDP科目を選択科目として履修することもできます。

 

 

甲府西高校 ディプロマプログラム(DP)の開設DP科目

甲府西高校では、DPを履修する生徒は、下記の6科目をすべて履修します。

教科 DP科目 概要 言語
言語と文学
(母国語)
言語と文学HL
[Japanese A:
language and
literature]
文学作品や実在の広告などについて詳細に分析し、自分自身の解釈と他者の観点を客観的に考察する。話す・書く等のスキルや解釈・分析・評価のスキルを伸ばす。
言語の習得
(外国語)
英語HL
[English B]
文学作品を含む各種の英語の素材に触れ、より幅広く複雑な言語の習得に取り組む。さまざまなトピックについて、英語での議論の構築・分析・評価ができる能力を伸ばす。
個人と社会 歴史HL
[History]
歴史に複数の解釈があることを理解し、国際的な視野を身に付ける。問題や出来事についてのエビデンスと分析を統合して、歴史的に考察し、論理的な議論を構築する。
理科 化学SL
[Chemistry]
「科学の本質」を全体テーマとして化学を理解する。科学の知識体系・方法を習得し、科学的主張を分析・評価・統合する能力を身につけて、実験プログラムで活用する。
数学 数学SL
[Mathematics:
analysis and
approaches]
数学の概念・原理・本質に対する理解を深め、論理的思考と創造的思考を養う。さまざまな数学的アイデアを探究し、実社会の状況を、数学を使って明確簡潔に表現する。
芸術 美術SL
[Visual arts]
美術作品を分析・比較し考察する。多様な作品制作の技法を研究し、自身の展覧会コンセプトに関連した制作意図・スキル・表現手段を用いた作品を制作する。

*HL:上級レベル、SL:標準レベル

*「言語」は、授業や試験・課題提出の言語のこと、日:日本語 英:英語

 

 

甲府西高校 コア
 DPを履修する生徒は、下記の3つのコアをすべて履修します。
 甲府西高校では、TOKは授業内、CAS・EEは授業外で活動します。
コア 概要 言語
TOK
[Theory of
knowledge]
知の理論
「どのようなエビデンスが主張を裏付ける根拠として有効であるとみなされるのか」「知識を追究するにあたってどのような制約があるべきか」などの答えが1つではない問を、日常生活を基に考えることで、知識について振り返り考察する。
CAS
[Creativity, Activity, Service]
創造性,活動,奉仕
「創造性」(アイデアの探究によるオリジナルの作品やパフォーマンス)、「活動」(健康的なライフスタイルに寄与する身体的な活動)、「奉仕」(身近に実在するニーズに対応した、協働的かつ相互扶助的な取り組み)を合理的なバランスで実践する。
EE
[Extended Essay]
課題論文
履修しているDP科目から、生徒が自分で選んだトピックについて自主的にリサーチを進め、その成果を正式な学術論文の形で発表する。高いレベルのリサーチスキル、記述力、創造性を伸ばすと同時に、知的発見の機会となる。

 

 

甲府西高校 国際バカロレア(IB) FAQ

 甲府西高校IBについて、よくある質問をまとめます。

  1. Q: IBの教育は難しそうですが、ついていけますか。
    A: 日本では大学で扱われる内容も、一部には含まれていますが、世界各国の同年代の生徒が受けている教育内容ですので、難し過ぎてついていけないというものではありません。
  2. Q: 英語で行われる授業がありますが、英語力が問われますか。
    A: 英語と美術では、授業や試験・成果物作成を英語で行います。ベースとなる英語力は必要ですが、資格等の所持はDP履修の条件とはしていません。ただし、目安として、高校2年次の始め(DP科目スタート)に英検2級相当の力がついているように、高校1年次までに努力を重ねていくことは必要です。
  3. Q: 基本的な知識や技能をしっかり身に付けることができますか。
    A: 網羅的に知識を暗記するような学習はしませんが、科目の基礎となる基本的な知識・技能は大切にしています。それを活用して、深く追究する学びを進めていきます。
  4. Q: 高校入試でIBコースのような特別な募集をしますか。
    A: しません。DPのプログラムや科目は、2年次からの選択ですので、入学後の1年次11月頃、次年度履修登録の際に、履修希望を出します。
  5. Q: 2年でDPを選択したら、3年でも続けなければなりませんか。
    A: DPの各科目の修了に必要な授業時間数を確保するため、継続履修を原則としています。
  6. Q: DPを選択して、高校卒業資格が得られますか。
    A: 得られます。本校では、DPの科目を学校設定科目とし卒業単位に認定します。
  7. Q: DPの最終試験に合格できなかった場合はどうなりますか。
    A: IBの試験結果と、卒業単位の認定は別ですので、卒業できなくなるようなことはありません。
  8. Q: 週当たりの授業時間数が増えたりしますか。
    A: 本校では、一般的なカリキュラムの場合、月曜が6時限、火~金曜が5時限の授業を行っています。DPのプログラムの場合、それに加えて、週1~2日、6時限目に授業やコアを実施します。
  9. Q: 学校行事や部活動などは、DPを選択しても同じようにできますか。
    A: DPのための特別なクラスは作っていませんので、ホームルーム、学園祭や修学旅行などの学校行事、委員会や部活動などの生徒会活動については、まったく同じです。ただ、放課後等にDPの授業や活動が入ることもありますので、多少の制約はあるかもしれません。
  10. Q: 海外研修などはありますか。
    A: DPの中にはありませんが、本校で実施する短期留学等に、希望により参加することができます。
  11. Q: 特別に費用がかかったりしますか。
    A: 料別な授業料等はかかりません。IBの資格取得のための実費として、試験料や事務費等、教科書・教具・教材費が科目数に応じてかかります。R5入学生を例に挙げると、IB Diploma取得の場合は25万円程度となりますが、試験料はシンガポールドルで請求されるため、為替レートによって変動します。
  12. Q: 宿題や課題は増えますか。
    A: DPの科目では、一般的な科目とは別の授業を行いますので、宿題や課題、定期テスト等は別になります。一般的な科目の宿題や課題にプラスされるわけではありません。科目ごとに必要な宿題や課題が出されますので、自己管理をしながら完成させていくスキルを身に付けていきます。
  13. Q: IBは、大学入試でどのように扱われるのですか。
    A:一概には言えませんが、つぎのようなことを参考にしてください。

    <海外の大学入学者選抜>
    IB Diplomaは、国際的に通用する大学入学資格として、国ごとに具体的な取扱いは異なるものの、世界の多くの国々の大学において、大学入学資格として幅広く受け入れられています。また、英国などでの大学入学者選抜に当たっては、IBのスコアが広く活用されています。

    <日本の大学入学者選抜>
    IBの学びを総合的に生かすことができる選抜方法をとる大学が多くあります。出願要件や呼び名などは大学学部ごとに異なります。
    IB Diplomaを活用した選抜では、IBのスコアとともに、小論文、面接などを総合して選抜を行っている例が見られます。また、総合型選抜・学校推薦型選抜でも、活動報告などの資料や小論文、プレゼンテーション、資格検定試験の成績等を総合して選抜が行われます。
    日本の大学におけるIBのスコア等を活用した入試の実施状況は、以下をご覧ください。(文部科学省IB教育推進コンソーシアム事務局調べ)。

    https://ibconsortium.mext.go.jp/about-ib/entrance-exam/

 

 

 

4.参考

 

国際バカロレアについてさらに詳しく知りたい方は・・・

甲府西高校HP > 国際バカロレア(IB)では、IBやDPの説明について、下記のURLを参考にしています。
さらに詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。

 

International Baccalaureate HP https://www.ibo.org/
文部科学省IB教育推進コンソーシアムHP https://ibconsortium.mext.go.jp/

 

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